役所から届く「相続人代表者を決めて下さい」の通知 |
相続登記の準備をしている途中で、不動産所在地の役所から、「固定資産税課税の通知書を受け取る人を決めて下さい」と、通知が来る場合があります。
役所に提出されても構いませんが、相続登記をすることで、法務局から役所に連絡が回りますので、「すぐに相続の名義変更をされるのであれば、あえて出さなくていいです」と申し上げることもあります。
役所に聞いても、同様の回答を得たことがあります。 |
過去に行われた遺産分割協議による相続登記 |
過去に行われた遺産分割協議による相続登記。
よくある例は、原本を税務署に提出されているため、遺産分割協議書や印鑑証明書がコピーしか存在しない、というケース。
法務局での相続登記では原本が必要であるため、改めて「不動産だけ」の遺産分割協議書を作成し、印鑑証明書も取り直しをしていただくことになります。
相続税の申告をされるために、相続登記にも使える書類一式を揃えられたものの、手間・費用の節約で登記は放置されたまま、という例が時々あります。「あの時、名義変更をやっておけばよかった・・・」と、皆さん思われることになります。
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遺産承継手続きの中での相続登記 |
不動産が含まれる遺産承継手続きの進め方は、さまざまです。
誰も住まれない、又は、不動産を残さない場合は、不動産の売却代金を換価し、換価したお金を金銭で分割される場合が多いですが、特定の相続人名義に変更し、不動産の売却はその相続人にお任せする場合もあります。
不動産の売却前に遺産分割協議を終える場合は、不動産の売却金額が分かる前に協議書に印鑑を押すことになりますので、不動産の評価を「いくらと見積もって分割するのか」がポイントとなります。
また、換価分割の場合は、「それぞれの相続人が、譲渡所得の申告をする」ということになります。
事前に税理士さんに相談し、「取得費がいくらであるため、いくらで売れたら、どの程度の譲渡所得税がかかるのか」試算してもらいながら、不動産の売却手続きを進めた事案もあります。 |
家督相続も含む何代にも渡る相続登記 |
被相続人の死亡は、昭和20年代。
その前に家督相続があり、さらに2回にわたる相続が含まれていた相続登記。
遺産分割協議書は、「被相続人A→A家督相続人兼被相続人B→B相続人兼被相続人C」という表示になりましたが、「中間の相続が単独」という要件を満たすため、相続の登記自体は1本で行いました。
家督相続だけで2つ含まれている、不動産もありました。
登記の原因は、「年月日A家督相続、年月日B家督相続、年月日C相続、年月日相続」となりました。 |
建物の共用部分の評価も敷地権割合を乗じて計算 |
マンションの固定資産税評価額、大阪市の場合は、建物も1行で出てくるため、計算しやすいものの、堺市の場合、物置や集会室等の共用部分が、別途、評価証明書に載ってくるケースがほとんどです。
建物の共用部分についても、評価額に敷地権割合をかけて計算します。
共用部分の数が多くなると、登記の内容は同じでも登録免許税の計算が大変・・・ということになりますが、「全住戸の物置が共用部分として課税明細に載っており、A4の用紙5枚になって出てくる」というマンションが、堺市内に存在します。 |
土地の評価証明書上の面積と、登記上面積が違う場合 |
分筆や合筆をしていないのに、評価証明書上の面積と、登記上の面積が違う場合、土地の一部が公衆用道路で非課税になっている可能性が高いです。
道路部分は、固定資産税は非課税でも、登録免許税は、課税されている面積のu単価に、0.3を乗じた金額で、課税価格を計算します。 |
相続登記と並行して、相続税の申告が必要かどうかの見極め |
司法書士は、相続税のご相談に応じることはできませんが、相続税課税の有無を気にされる依頼者の方には、ある程度の聞き取りをし、税理士さんに引き継いだほうかいいかどうか、の判断をすることはできます。
相続税課税の可能性があり、かつ、ご希望があれば、不動産の名義変更や、預貯金の解約手続きと並行し、税理士さんのご紹介もしています。 |
未登記家屋の名義変更届 |
法務局で登記がされていない、未登記の建物については、登記を行わず、建物所在地の役所に「未登記家屋名義変更届」を提出することが多いです。
貝塚市では、「家屋所有権の申立書」という名称の書類になっています。
また、貝塚市で、毎年の納税通知書を、名義人以外の相続人に送ることを希望される場合は、「納税義務者等送付先変更届<第2住所>」の提出も求められました。この件についての添付書類は不要です。 |
森林法による相続の届出 |
山林の場合、相続による名義変更と共に、森林法の届出を行います。行政書士業務です。
森林法では、相続に関わらず、「土地の所有者になった日から90日以内に届出しなければならない」とされています。
添付書類は、登記事項証明書と図面です。
土地の位置が特定できない場合は、公図のみを提出しています。 |
農地法による相続の届出 |
山林と共に、農地についても、相続の届出が必要となっています(農地法第3条の3第1項)。行政書士業務です。
添付書類は、登記事項証明書。
※農地法施行規則の改正により、令和5年9月1日届出分から、届出書に権利を取得した届出者の国籍等を記載を求められることなっています。 |
相続人全員の方との面談が必要かどうか |
相続による名義変更の際、相続人全員の方にお越しになられる場合、一部の方がお越しになられる場合があります。司法書士からは、「相続人全員の方にお会いさせて欲しい」とお願いするケースは少ないです。
依頼者の方のご都合、相続人さん同士の関係性にお任せしています。 |
法定相続情報証明の申請 |
法定相続情報証明は、相続による名義変更と同時に申請することもあれば、金融機関の手続きを先行させる場合は、先に申請することもあります。
相続登記の申請と同時にする場合でも、法務局内の作業は、先に相続登記。
その後で法定相続情報証明の係に回るようで、「相続登記が終わったから」と法務局に回収に出向いても、「法定相続情報証明はまだできていない」ということが複数回ありました。 |
被相続人の住所証明書が添付できない場合の相続登記 |
昭和40年代に開始した相続で、被相続人の最後の住所証明書の添付ができません。
但し、「建物の所在地と本籍地が同じ」という事情があったため、被相続人の同一性を証明する書類は不要でした。
※権利証もなく、納税義務者の変更も行われており、被相続人名義の納税通知書を提出できないため、管轄法務局に問い合わせした上で、名義変更の登記を進めました。 |
遺産分割協議書の回覧の仕方 |
遺産分割による相続の名義変更の場合、遺産分割協議書に、相続人の方全員の署名捺印をいただきます。
遺産分割協議書1枚に、相続人の皆さんに連署していただくこともあれば、相続人さんそれぞれに1枚ずつをご郵送し、返信してもらうこともあります。ご都合のいい方法で、ご指示下さい。
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二次相続を見越した遺産分割協議 |
令和6年からスタートする「相続登記の義務化」の話をきっかけとし、長年放置していたけれど、という相続登記のご依頼が入り始めました。
実際には、配偶者の方が住まれているものの、二次相続を見越して、代を飛ばして相続登記されるケースもあれば、「一旦は」と、配偶者の方に名義を変更されるケースなど、さまざまです。
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登記簿上の住所と最終住所が一致していることの確認 |
相続による名義変更の前提として、被相続人が、「登記上の住所に置いていた住所の証明」が必要です。
住民票、戸籍附票で一致しない場合は、「役所の保管期限で廃棄」ということもありますが、役所都合の「住居表示実施」「町名変更」ということもあります。
役所のホームページで確認したり、電話で問い合わせをして、証明書の取り寄せをします。
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複数の被相続人が含まれる遺産分割 |
相続による名義変更の費用、「資料を拝見しなければ、お答えできません」というのが、司法書士としての基本的なスタンスです。
当事者となられる相続人は同じでも、一部不動産が祖父名義で残っていたり、一部は表題部の登記しかされておらず、相続による移転登記ではなく保存登記が必要だった、ということもあるためです。
司法書士としては、一度お伝えした見積額を、後になって「もっと高くなります」とは言いづらいのと、一般の方に、費用が高くなる理屈をご理解いただくのは難しいため、時には「今回はいいか」と思いながら、最初にお伝えした費用でさせていただくこともあります。
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海外にお住まいの場合の相続登記 |
海外に住所を置かれている日本人の場合、住民票・印鑑証明書が発行されませんので、本来必要な戸籍謄本等と共に、サイン証明書と在留証明書が、相続登記の必要書類として加わります。
登記の委任状にもサインしてもらうとして、「認印がなかったらどうなのか」と調べてみたところ、「新たに登記識別情報の提供を受ける申請人」は押印が必要(不動産登記規則第47条三ホ)という回答に行き着きました。 |
売却を決められている不動産の相続登記 |
相続人の方が多数の遺産分割。
不動産の売却を決められていたため、不動産の仲介業者さん、動産の処分業者さんと日程を合わせてご訪問。売却の方針決定、査定、見積もりも含めて、一度で顔合わせと、打ち合わせをさせていただきました。
「売主となる相続の名義人が多数」となると、売買契約書の捺印だけでも煩雑になりますので、換価分割を利用。
換価分割のため、売買契約書で、売買代金の支払先を司法書士の預り金口座を指定してもらい、司法書士が金融資産と合わせて相続分を計算。
司法書士の預り金口座から、相続人の皆さん宛に、それぞれの相続分のお振込みをしました。
(国税庁のタックスアンサーから引用)
【照会要旨】
遺産分割の調停により換価分割をすることになりました。ところで、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとしました。この場合、贈与税の課税が問題になりますか。
【回答要旨】
共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。 |
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空き家の3000万円控除の要件を満たせるように |
A・B2回の相続が発生し、最終の相続人はC1名。
居住されていたのがBであったため、法定相続で順次相続登記するのではなく、一旦B名義で相続登記(B名義で相続すると決めて動かれていた、という実態があったため)。
続けて、B相続でC名義にする相続登記を入れました。
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墓地の相続登記 |
登記上の地目が「原野墓地」となっており、固定資産税評価額も記載されていました。
登録免許税は、墓地の非課税条項ではなく、100万円以下の土地の非課税条項(租税特別措置法第84条の2の3第1項)を使いました。 |
税理士さん作成の協議書を相続登記に利用する場合 |
税理士さんが作成された遺産分割協議書を、相続登記に利用させてもらうこともありますが、不動産の特定の方法が、税理士さんの感覚と、司法書士の感覚が違う場合があります。
他の財産は抜いて、「不動産だけ」の協議書を作成し、登記の申請をすることもあります。
※当事務所では、不動産の相続登記の基本料金66,000円に、「不動産登記用の協議書作成を含む」取扱いです。「自分で協議書を作成したら、費用は安くなりますか」と聞かれることもありますが、変わりません。 |
敷地権化されていないマンションの相続登記 |
新しく建築されたマンションは、建物の登記に、土地が敷地権化された状態で登記されていますが、古いマンションでは、別々ということもあります。
・建物については、所有権移転による名義変更。
・土地については、持分移転による名義変更を行うことになります。
※一体化されるようになったのは、昭和59年1月1日以降です。
所有権を取得された後に一体化されているマンション、というのも存在します。
建物登記簿の表題部を見ることで、確認できます。 |
死者名義への土地の相続登記は非課税 |
死者名義への相続登記は、土地に限り、非課税となります(租税特別措置法84条の2の3第1項)。
令和4年の税制改正で、この時点で、令和7年3月31日までと延長されていました。
※本来の登録免許税は、固定資産税評価に対して0.4%です。
※建物については、死者名義に登記する場合についても、0.4%の登録免許税が課税されます。 |
評価額100万円以下の土地の相続登記は非課税 |
死者名義への相続登記と共に、固定資産評価額100万円までの土地に関する相続登記も、非課税となっています(租税特別措置法84条の2の3第2項)。
山林や農地の相続登記は、ほとんどの場合で、登録免許税は非課税の対象となっています。 |