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贈与契約書の作成

贈与契約書

無償で財産を譲る「贈与」の契約は、口頭での合意でも成立しますが、民法上、「書面によらない贈与は撤回することができる」とされています。後々のトラブル防止のため、または、証拠として残しておけるように、書面にしておかれるほうがよいでしょう。

贈与契約書のひな型を掲載しますが、あくまでも一例であり、必ずしもこのとおりに作成する必要はありません。

贈与の対象物を特定し、日付を記載。
当事者が署名押印しておけば贈与契約書として成り立ちます。

※司法書士に不動産の贈与登記をご依頼いただく場合は、司法書士が贈与契約書を作成します。
※金銭や預貯金の贈与の場合は、行政書士として贈与契約書を作成します。

贈 与 契 約 書(例)
 贈与者大阪太郎(以下甲という)と受贈者大阪さくら(以下乙という)は、本日、以下の通り贈与契約を締結した。
第1条 甲はその所有する下記記載の財産(本件財産という)を乙に贈与し、乙はこれを受諾した。
  (1)宅地 堺市堺区■■36番 150.98u
(2)建物 堺市堺区■■36番地
       家屋番号36番  1階 50.30u 2階 45.45u
(3)普通預金 堺銀行三国ヶ丘支店 口座274493 金500,000円
(4)定期預金 堺信用金庫三国ヶ丘支店 口座58740 金500,000円
第2条
  1. 甲は乙に対し、令和3年8月○日までに本件財産を引き渡し、且つ本件財産のうち不動産については所有権移転登記手続きを行なう。
  2. 前項の引き渡し及び所有権移転登記手続きに必用な一切の費用は、すべて乙の負担とする
  3. 本件財産のうち預貯金については、大阪さくら名義の預金口座に振り込むことにする。
第3条 本件財産のうち不動産に課税される公租公課は、所有権移転登記完了の日を基準として、登記の日までの分を甲、登記の日以降の分を乙の負担とする。

上記の通り契約が成立したので、これを証するため、本契約書2通を作成し甲乙各1通を保有するものとする。

令和6年10月□日

   

贈与者(甲) 大阪府堺市堺区●●一丁1番1号
          大 阪 太 郎  (印)(実印) 

受贈者(乙) 大阪府堺市北区●●四丁13番1号
          大 阪 さくら  (印)

    

※贈与する方の印鑑は、後々の証拠になることも考え、できれば実印で押しておきましょう。 

贈与契約の種類

贈与契約の中でも、「私が居住する土地建物を贈与します」という単純な贈与の他、下記のような種類があります。

1.定期贈与 例えば、「毎年100万円ずつ、10年間贈与する」と、定期的に贈与をする契約ですが、1,000万円に対して贈与税がかかりますので、注意が必要です。
2.負担付贈与 例えば、「土地を贈与する代わりに、借入金の返済を負担する」と、贈与をする条件として、贈与を受けた人に一定の義務を負わせる契約です。
3.死因贈与 例えば、「自分が死んだら、不動産を贈与する」と、死亡した時を効力発生時とする契約です。

この中でも「定期贈与」は、税務上で不利益な扱いを受けることになりますので、契約をする時には十分に注意をしましょう。

「死因贈与」は、実務上はあまり使われておりませんが、「特定の不動産のみ」を「特定の人」に譲りたい場合。
全財産を対象にする遺言と切り離して、名義を変更したい場合に用いられています。

不動産の死因贈与と登記

死因贈与とは、「私が死んだら、Aさんにこの不動産を譲る」といった内容で、自分が亡くなった時に財産を無償で譲ることを、生前に契約しておくものです。

被相続人の一方的な意思表示で行う「遺贈」とは違い、お互いに合意して行う契約であるのが特徴です。「贈与」という名前が付いていますが、贈与税ではなく、相続税の対象になります。

また、遺留分を侵害した贈与分は、遺留分減殺請求の対象になります。

死因贈与は、贈与する人が亡くなった時に効力が発生するものですので、不動産の名義変更は贈与者が亡くなった後にすることになります。

所有権移転登記をする際には、

  1. 執行者がいる場合は、受贈者と執行者が(執行者の印鑑証明書を添付して)
  2. 執行者がいない場合には、受贈者と相続人全員が(相続人全員の印鑑証明書を添付して)

共同して、登記の申請をすることになります。

但し、1.の場合でも、私署証書で執行者が指定されている場合は、死因贈与契約書に贈与者が押した印鑑について、贈与者の印鑑証明書を添付するか、相続人全員の印鑑証明書付の承諾書を提出する扱いになっています(公正証書の場合は不要)。

相続人の全員の印鑑を取り付ける手間も踏まえると、執行者を指定しておく(なおかつ公正証書で契約しておく)ほうが、手続きはスムーズに進みます。

死因贈与の仮登記

死因贈与は、贈与者の死亡後に効力が発生するものですが、生前に、死因贈与の仮登記をしておくことができます(これに対して、遺贈の仮登記はできません)。

死因贈与の仮登記は、

  1. 仮登記義務者(贈与する人)と仮登記権利者(贈与を受ける人)の共同申請か
  2. 仮登記義務者の承諾書(印鑑証明書付)を添付して、仮登記権利者が単独で行います。

但し、公正証書で契約した場合で、仮登記義務者である贈与者が「仮登記に承諾した」文言があれば、贈与者の承諾書及び印鑑証明書なしで、仮登記権利者が単独で手続きできます。

仮登記をしておいても、その後に贈与者が撤回することができますが、心理的な拘束力が働くことは期待できます。

★ 司法書士行政書士吉田法務事務所からのご案内 ★ 

贈与契約書は、不動産の贈与に司法書士として関与させていただくに際し、作成させていただくケースがほとんどですが、相続税対策にと、預貯金から、現金の贈与をされることもあります。

また、不動産の購入に際し、購入資金の贈与について、贈与契約書を作成させていただくこともあります。「契約書作成のみ」のご依頼の場合は、行政書士業務となります。

不動産の贈与の場合、法務局に贈与したことが分かる書面を提出しますが、金銭の贈与で、どこかに提出される必要がなくても、後日の証拠として書類として残しておかれて、なおかつ、振り込みで処理されることをお勧めします。

死因贈与のご依頼は少ないですが、特に、法定相続人以外の方に、他の財産と切り離して譲られたい時には、検討の余地があります。ご自身が亡くなられた後に手続きすることになりますので、公正証書で契約をして、なおかつ、権利証の所在を明らかにされておくことをお勧めします。

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