遺言書がある場合の名義変更
相続による名義変更は、「遺産分割協議書に相続人全員が実印を押して・・・」という手続きが原則になりますが、遺言書がある場合は異なります。
このページでは、遺言書がある場合に絞り、
(1)遺言書の内容が「相続させる」となっている場合
(2)「遺贈する」となっている場合
に分けて、不動産の名義変更の手続きの違いや、必要書類についてまとめています。
(1)「相続させる」遺言書による名義変更
「遺言書がある場合」のうち、遺言書の文面が、相続人に対して「相続させる」となっている場合についてご説明します。
●登記を申請する人
「相続」を原因とする不動産の名義変更は、相続の権利を受ける相続人が、登記の申請をします。
★ポイント 遺言執行者の役割 |
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遺言書で指定された遺言執行者が存在する場合でも、「相続させる」遺言に基づく相続登記は、相続人から申請します。 |
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●「相続」による登記の必要書類
遺言書による「相続」を原因とする不動産名義変更に必要な書類は、一般的には、下記のとおりです。
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遺言書 |
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遺言書を作った人の戸籍謄本(亡くなったことが記載されているもの) |
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遺言書を作った人の住所証明書か戸籍附票(登記住所から最終住所までの沿革が分かるもの) |
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不動産の名義人となる相続人の戸籍謄本 |
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不動産の名義人となる相続人の住民票 |
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- 遺言書がある場合でも、兄弟姉妹に対する「相続」登記の場合は、先順位の相続人(子・両親・祖父母)が存在しないことを証明する戸籍謄本が必要です。
- 遺言書が公正証書遺言以外の場合、家庭裁判所の「検認」の手続きが必要です。
先に家庭裁判所で検認の手続きを済ませて、「検認済」の証明書が付けられた遺言書を、法務局に提出します。
(2)「遺贈する」遺言書による名義変更
「遺贈(いぞう)」とは、遺言により、無償で財産を譲ることですが、特に、法定相続人以外に財産を譲る場合に使われる表現です。 「遺贈」には、全ての財産を対象とする「包括遺贈」と、特定の財産を対象とする「特定遺贈」があります。
★ポイント 「相続」と「遺贈」の使い分け |
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遺言書の文言が「遺贈する」となっていれば、原則として、登記の原因は「遺贈」です。
但し、「遺贈する」となっていても、財産を受ける人が相続人全員である包括遺贈の場合は「相続」になります。 |
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遺言書の文言が「相続させる」となっている場合でも、法定相続人宛でない場合は、登記の原因は「遺贈」になります。 |
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遺言書の文言が「贈与する」となっている場合の登記原因は、「遺贈」を用います。 |
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登録免許税は、「相続させる」の場合が固定資産評価額に対して0,4%、「遺贈する」の場合が2%です。「遺贈」の場合は、「相続」の場合に比べて高くなります。 |
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●登記を申請する人
遺贈の登記は、相続の登記と異なり、下記の人が共同して名義変更の申請をします。
・遺言執行者がいる場合 |
遺言執行者と受遺者(財産を受け取る人) |
・遺言執行者がいない場合 |
相続人全員と受遺者(財産を受け取る人) |
- 「包括遺贈」を受けた人は、相続人と同じ権利義務を有するとされていますが、不動産の名義変更をする場合に、遺言執行者との共同申請が必要であることは同様です。
●「遺贈」による登記の必要書類
遺贈による名義変更に必要となる書類は、一般的には下記のとおりです。
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遺言書 |
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権利証=登記識別情報通知 |
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印鑑証明書(遺言執行者又は相続人全員の、3ヶ月以内のもの) |
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遺言書を作った人の戸籍謄本(亡くなったことが記載されているもの) |
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遺言書を作った人の住所証明書(登記住所から最終住所までの沿革が分かるもの) |
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不動産の名義人となる人の住民票 |
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- 権利証が必要になるのが、「相続」による登記と違う部分です。
権利証が紛失等で提出できない場合は、事前通知(権利証がないまま裁判所に提出→後日確認の郵便物が届く→実印を押して裁判所に提出する)の制度を使います。
- 遺言書を作成した人(亡くなられた人)の、登記された住所と最終住所が異なる場合、遺贈の登記の前提に、住所の変更登記が必要です。
- 遺言執行者が存在せず、相続人全員が申請人となる場合は、他に相続人がいないことを証明するため、亡くなられた方の戸籍謄本は遡って(12〜13歳頃以降の分)収集する必要があります。
★ポイント 遺言書による登記全般 |
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相続の場合でも遺贈の場合でも、遺言書の効力発生時に、財産を受け取る人が健在である必要があります。
先に亡くなられた場合、遺言書を作り直すか、財産を受け取る人が先に亡くなった場合を想定し、「先に亡くなった場合は誰に相続させるか」を予備的に決められていない限り、法定相続人が相続することになります。 |
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遺言執行者が先に亡くなっている場合、遺言執行者の地位は相続されません。
相続人全員が申請人となるか、もしくは、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申立をした上で、登記の手続きを進めます。
また、予備的に遺言執行者を定めておくこともできます。 |
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また、その前提として、生前に準備しておく、遺言書の作成手続きのお手伝いもしています。
このページでは遺言書がある場合の手続きについて、相続の場合、遺贈の場合に分けてご説明していますが、申請件数としては、「相続させる」遺言書による手続きが圧倒的に多くなっています。
司法書士・行政書士吉田事務所では、遺言書の作成、不動産名義変更に必要な書類の収集から登記の申請まで、一連の相続手続のお手伝いをさせていただいています。
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